広州=深圳間のCRH

広州から東莞入りするのにCRHを利用したことは、先の記事で触れたが、このCRHについて少し詳しく書いてみたい。

今年、2007年の4月に行われた「中国鉄路第6次提速」により、北京、上海、そして広州で、中国の新幹線とも言われる、新型の列車が導入された。CRH (China Railway High-speed) と呼ばれ、和諧号という名前がついている。海外の技術を大幅に導入してつくられたもので、従来の中国の鉄道の車両とはかなり趣が違う。北京や上海で走っているものは、JR東日本の新幹線車両をベースにしたものだが、広州で走っているのは、別の車種で、カナダのボンバルディア社との提携によるもの。中国の鉄道は多くは機関車が客車を引くタイプのものだが、これは日本の多くの特急列車と同じように、各車両にモーターがついている「電車」、タイプで、中国語では動車組と呼ばれる。中国の列車番号の頭文字は、普通列車がアルファベットなし、快速がK、特快がT、直達がZといった文字で表されるが、CRHはこれとは別で動車組のDが付く。

以前の記事で、中国では鉄道に乗るのは結構大掛かりなことだと書いたが、CRHの乗車については、これも結構改善されているようだ。もともと広州=深圳間は香港からつながっていることもあり、中国の他の地域の鉄道に比べると利便性はよかったようではある。私自身はCRH導入前にこの区間で鉄道を利用したことはないので、はっきり比べて言うわけには行かないが、どうもCRH専用に改札口が新たに用意され、そこには自動改札機も導入されている。切符の購入も専用の窓口で事前予約がなくとも、当日その場ですんなり購入できる。切符の見た目は添付写真の通り、他の中国各地の切符と一見同じだが、実はこれが非接触ICカードになっている。普通はICカードはそれなりの厚みのあるプラスチックカードになっているものだが、これはペラペラとは言わないが少し厚手の紙でできた普通の切符とさほど変わらない厚さで、最初はICカードと気付かず、改札機にかざすだけでみんな通っているので、おや、と思った。光にかざしてみると、確かにICチップとアンテナ用のループ上のパターンが透けて見える。よく見ると、「広深鉄路ICカード専用乗車凭証」と書かれている。回収再利用される深圳の地下鉄のトークンと違って、出場時もこの切符はセンサ部にかざして通るだけで、改札機の出る側の端に回収用の穴があるがそこに入れないと出られないわけではないので、使用済みの切符は持って帰って来られた。

中国の鉄道の座席のクラスは一般的には軟座と硬座の2種類だが、CRHでは全て軟座扱いで、軟座の中に1等と2等のクラス分けがある。空調がついているかどうかでも値段が違ったりする (CRHは当然全部ついている) ので、新空調二等軟座準高速という長い表現になっている。座席は回転せず車室の半分ずつで向かい合わせに向きは固定されている。ドアとデッキが車両の真ん中あたりについているので、車室は1両のおよそ半分ずつに分断されている。窓際に、非常時脱出用に窓ガラスを割るためのハンマー (緊急破窓錘と書かれている) が設置されているのがなんだか物々しい。

広州東=東莞間、また東莞=深圳間、それぞれ約30分。本数も結構出ていて、途中停車駅にもよるが、だいたい30分に1本以上あるので、結構利用しやすい。これなら中国での鉄道利用も快適である。

  1. コメントする

コメントを残す